前回の記事で、
科学的知見を活用することの
重要性について説明しました。

では科学的知見をどこで入手すれば
いいのでしょうか?

基本的に科学的知見というのは
「学術論文」の中にあるデータです。

そして、多くの人にとって(私にとっても)
残念なお知らせですが、
トレーニング科学関連の優れた情報は、
日本語の論文には少なく、多くの場合、
英語の論文の中にあります。。

その質もさることながら、
論文数だけでも大きな差があります。

例えば、Google Scholarという論文検索サイトで
「ジャンプ トレーニング」と検索した場合
⇒約2,920件
「Jump Training」と検索した場合
⇒約88万8,000件
と、とんでもない差になります。

これは、世界的に日本語圏よりも
英語圏のほうが広いだけでなく、
日本の研究者も素晴らしい研究結果を
英語の論文で発表することが多いからです。

また、論文の結果を読み取るときには
結果の解釈に「統計的な知識」が必要になります。

つまり、科学的知見を活用しようと思ったら

  • 論文を見つけられる能力
  • 英語の読解
  • 統計学の知識

が必要になります。

そう言うと身構えてしまう方も
いるかもしれませんが、
今回はこれらの壁を乗り越える
簡易的な方法をお伝えします。

論文の見つけ方

論文を見つけるには、
論文検索サイトを活用する必要があります。
ここではGoogle Scholarを紹介します。

① まずはGoogleやYahooなど、
一般的なインターネット検索サイトで
「Google Scholar」と検索してください。
そうすればGoogle Scholarのページが
見つけられるはずです。

② Google Scholarの検索ページにて、
興味のあるワードを入力、検索しましょう。
スペースを入れて複数検索もOKです。
(Jump Training、Periodization、など)

③ 気になるタイトルの論文をクリック、
or 論文によってはこの時点で
タイトル横のリンクからPDFも
ダウンロードできます。

④ 論文のページに移ると、Abstract(要約)は
読むことが可能な場合が多いです。
ページ内にPDFダウンロードボタンがあれば
そこからダウンロードしましょう。

※論文によっては有料のものもあります。
大学などの研究機関に所属している場合は、
そこの回線から無料ダウンロードできることも。
できなければあきらめるか、
お金を出して購入しましょう。

英語の読解

英語については地道に勉強する。
というのが一番ですが…。
最初のうちは本文をGoogle翻訳などにぶち込む
というのもありでしょう。
細かいニュアンスは読み取れませんが、
気になる部分があればそこは自分自身で
個別に訳す形で。
多くの論文(レビュー論文以外)は
緒言、方法、結果、考察といった流れになっており、
結果のところは図や表で示されており、
ぱっと見で理解できることも多いです。

最初はこのような方法で読み始め、
慣れてきたら自分自身で単語を調べながら
読み進めていきましょう!

統計学の知識

トレーニング科学系の論文には
様々な統計手法が用いられます。
まずはその研究が「観察研究」なのか
「比較実験」なのかを読み取りましょう。

観察研究というのは、
トレーニングを介入するわけではなく、
ある被検者群の特性について
比較や分析をしている研究です。
具体的には、
「スクワットの最大挙上重量と
スプリントスピードの関係」や
「スタメンと非スタメンの体力特性の違い」
などです。

比較実験とは、
ある介入(トレーニングなど)を行ったときの成果
(トレーニング前と後の数値の違い)について
分析したものです。
Aというトレーニングを行った場合の
ジャンプ力の向上率、などです。

どちらの研究手法も数値同士の関係性であったり、
群間やトレーニング前後の数値の違いなどについて
分析していることが多いのですが、
その分析結果についてものすごく簡単に説明すると
「p<0.05」「*」などが示されていると、
「偶然とは考えづらい関係性や、
数値の違いが認められた」
と解釈できます。
逆に「p>0.05」「N.S.」などが示されていると、
「この関係性や数値の違いは
偶然起きたものである可能性が高い」

と解釈できます。

これらは論文内の結果(Result)の部分に
示されている
のでチェックしてみてください。

まとめ

今回はものすごく簡易的に論文の探し方、
解釈の仕方を説明しました。
より深く論文の内容を理解するためには、
英語や統計学について勉強してみましょう!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)