GPSという言葉、聞いたことありますよね。
Global Positioning Systemの略で、
衛星からの位置情報をもとに
様々なことに利用されています。

身近なものでいえばカーナビ。
これもGPSから得られた位置情報によって
現在地を把握できるというものですよね。

近年ではこのGPSが
スポーツの現場にも活用されています。

ラグビーやサッカーなどの
屋外スポーツに限られるのですが、
練習、試合中の走行距離はもちろん、
走行スピードやスプリントの本数なども
GPSを用いてリアルタイムで測定が可能です。

このGPSでの測定により、
主観よりもはるかに正確に、
練習量や運動の強度を可視化、
管理することができるのです。

測定するだけでは意味がない?

ただこのGPSについて、
測定するだけで終わってしまっている
といった悩みも耳にすることがあります。

これは明確な目的の前に、
方法が先立ってしまっているからです。

例えば、地図とコンパスの例で考えてみましょう。

コンパスを使うことによって、
方角が正確に分かりますよね。

今自分がどの方向を向いているのか、
あの山はここから見てどの方角にあるのか、
感覚のみに頼ったときよりはるかに
正確に方角が分かります。

やはり技術というものは偉大で、
正確性に関しては主観よりも断然優れています。

さて、方角が分かったところで
どちらに進めば良いのでしょうか。。

このときに地図があれば、
そして目的地が明確であれば、
コンパスの強みを最大限に活かせます。

逆に地図もない、目的地も分からない状況では、
コンパスの正確性なんて何の役にも立ちません。

GPSの良さは先ほど述べた通り、
主観よりもはるかに正確に
運動強度、運動量を測定できること。

ただ、
「何のために運動強度や運動量を測定するのか」
が明確でなければ、目的地が分からない状況で
コンパスを使っているのと同じです。

目的はできるだけ明確に、具体的にする

GPSの活用の目的としてよく聞かれるのが、
「運動量のコントロールによる、怪我の予防」
です。

オーバーユース系の怪我の予防には
この運動量のコントロールといったものは
非常に重要ですよね。

しかし以下のようなGPSの使用の仕方は
どうでしょうか。

「ここ数週は怪我人が多かったな」
「走行距離を確認すると、1週間の走行距離が
20㎞だった」
「オーバーユースによる怪我かもしれないから
少し走行距離下げとく?15㎞くらい?」

(練習中)
「あ、コーチ!そろそろ週あたり
15㎞いきそうなので、
次のメニューで練習終わってくだい!」

、、、微妙ですよね。

まずオーバーユースが疑われるときに
練習量を「少し」落とす。
これは別にGPSを使わなくてもできますよね。

練習メニューごとのおおまかな走行距離を
きちんと把握していなければ
上記のような問題も起こり得ますよね。

これは、
PDCAサイクルがうまく回っていない例です。

PDCAサイクルとは
Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Action(改善)
の4つをP⇒D⇒C⇒A⇒P…と回していく
サイクルのことです。

GPSの活用にも、明確な目的のもとに
PDCAサイクルを回していくことが大事です。

まずは自チームの運動強度・量の特徴を
把握するため、長い年月をかけてデータを
蓄積していく必要もあるかもしれませんが、
本格的に活用を開始するにあたっては、
以下のような手順が必要になります。

(P)Plan

練習計画の一部として、目標走行距離を定める。

(D)Do

計画にそって練習を実施する。
同時に選手の疲労度や傷害発生の状況を記録する。

(C)Check

目標とする運動量で、過度な疲労の蓄積や
オーバーユースの傷害の発生が起きなかったか、
競技体力向上のための負荷は十分にかけられたかを
評価する。

(A)Action

目標とする運動量でちょうどよかったかを検証し、
負荷の増減を再検討する。

ここで負荷の調整についても
きちんと記録しておけば、
今後の運動量の設定のための
データの蓄積にもなりますよ。

今回紹介したPDCAサイクルは
GPSなどのテクノロジーを活用しない
場合においても重要ですよね。

次回は運動量の測定についての
科学的なデータも紹介していきます!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)