• 腹筋100回
  • 腕立て100回
  • 背筋100回

トレーニング指導のプロであれば、
こんなトレーニングプログラムを立案する方は
少ないのではないでしょうか。

トレーニングプログラムを作成する際には、
きちんと意図をもってエクササイズを選択し、
そのエクササイズを
どのような変数で実施するかを
指導対象者のレベルやそのときの目的
設定することが多いですよね。

その時に設定する変数には、
以下のようなものがあります。

①強度(%1RM、○○RM)
②レップ数
③セット数
④レスト
⑤レンジ(降ろす深さ)
⑥テンポ
⑦各セットのフィニッシュのルール

今回は、
これらの変数の設定方法について
前編・後編の2回に分けて
まとめていきます。

①強度(%1RM、○○RM)

エクササイズの強度とレップ数は、
基本的には反比例の関係にあります。

ウエイトトレーニングにおいて、
低強度のものを少ない回数で実施していては、
神経的な負荷も代謝的な負荷もかからないので、
生理学的な適応を起こすのには不十分です。
(アクティベーションのための
コレクティブエクササイズの場合は別です)

基本的に高強度のものほど
少ないレップ数でしか実施できないし、
強度を落とせば挙上可能な回数は増加します。

特に筋力レベルの高いアスリートの場合、
神経的な適応を起こし、
最大筋力向上を狙うためには
高強度のものを処方する必要があります。

②レップ数

レップ数が多くなるほど、
セッション内で扱う総重量が増え、
代謝ストレスも大きくなり、
筋肥大に繋がります。

また、

  • 挙上可能回数のギリギリを狙うか
    (例:8RMで8レップ)
  • 少し余裕を残すか
    (例;8RMで6レップ)

目的次第で、
代謝ストレスを高めるのか、
強度を維持するのかなどの目的が変わってきます。

③セット数

セット数を増やすことで、
セッション内での総負荷を高めることになり、
筋肥大に繋がります。

これはレップ数の増加と同じように思えますが、
レップ数を抑えてセット数を増やすことで、
扱う重量(強度)を落とすことなく
総負荷を増やせるといったメリットもあります。

実際、少ないレップ数での高強度トレーニングでも、
セット数を増やすことによる総負荷の増加で
多レップのトレーニングと同等の筋肥大の効果が
認められています。

この方法では強度を高いまま総負荷を増やせるので、
筋力向上の効果も大きいです。

しかしこの方法には、
『時間がかかる』というデメリットもあります。

④レスト

強度を高めることで
神経的な負荷をかけられるレップ数を
多くすることで
代謝的な負荷をかけられる
といったことを紹介しました。

レップ数は単独で考えるのではなく、
上記の要因に影響を与える
間接的な因子でもあります。

もちろんレスト時間が長いほうが
次のセットでも強度を維持できるので、
長いレストというのは
トレーニング強度を高めると言えます。

上げられるレップ数も多くなるので、
トレーニングの総負荷も高まりますよね。

一方で同じ回数を挙上する場合、
短いレストのほうが代謝的なストレスは
大きくなると考えられます。

このように、
長いレストも短いレストも違った経路で
トレーニングの負荷を高めます。

実際、
長いレストと短いレストの効果を検証した研究では
筋肥大への効果に
有意差は認められませんでした。

一方で、長いレストのほうが
トレーニング強度を維持できたため、
筋力向上の効果は大きかったことが
報告されています。

パワーや筋力発揮が必要なアスリートの場合は、
基本的に長いレスト(3~5分)を採用したほうが
良さそうです。

しかしながら短いレストのトレーニングにも、
短時間で効果的に筋肥大が出来るといった
メリットがあるため、
場合によっては活用するのもありかもしれません。

前編まとめ

  • 神経的な負荷をかけるのか
    代謝的な負荷&総重量を高めるのかによって、
    強度、レップ数を調節する。
  • 時間があればセット数を多くすることで
    総負荷を高めることも可能
  • レストの設定が
    間接的トレーニング強度に影響を与える
  • 短いレストには時短で
    筋肥大が出来るというメリットもある

以上4点のご紹介をしました。

次回は以下3つについてもまとめていきます!

⑤レンジ(降ろす深さ)
⑥テンポ
⑦各セットのフィニッシュのルール

参考文献

  1. Ahtiainen, JP, Pakarinen, A, Alen, M, Kraemer, WJ, and Häkkinen, K. Short vs. Long Rest Period Between the Sets in Hypertrophic Resistance Training: Influence on Muscle Strength, Size, and Hormonal Adaptations in Trained Men. J Strength Cond Res 19: 572, 2005.Available from: http://nsca.allenpress.com/nscaonline/?request=get-abstract&doi=10.1519%2F15604.1
  2.  Schoenfeld, BJ, Ratamess, NA, Peterson, MD, Contreras, B, Sonmez, GT, and Alvar, BA. Effects of Different Volume-Equated Resistance Training Loading Strategies on Muscular Adaptations in Well-Trained Men. J Strength Cond Res 28: 2909–2918, 2014.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-201410000-00027