前回の記事では
スクワットを筋力の測定として活用する際には、
- スクワットの種類(バックorフロントなど)
- スクワットの深さ
- 最大挙上重量or一定の重さの回数
などの測定方法を決める必要がある
といったことを紹介しました。
今回は、
『測定した後の数値をどう解釈するか』
といったところに焦点を当てて考えていきます。
最大挙上重量vs推定最大挙上重量
これは
測定方法自体の違いとも関連しているのですが、
最大挙上重量の測定
(1回持ち上げられるギリギリの重さの測定)
であれば、
測定したときの重さ自体が記録になります。
一方で、
「一定の重さを何回持ち上げられるか?」
という測定になれば、
重量と回数から推定最大挙上重量(推定1RM)を
算出できます。
※RM:Repetition Maximum
例えば、
150㎏を4回持ち上げられたとしたら、
150㎏が4RMということになります。
4RMは
1RMのおおよそ90%ですので、
推定の1RMは150÷0.9=167㎏ということに
なります。
また、
推定最大挙上重量の評価ではなく、
回数をそのまま評価の指標として
使用する場合もあります。
絶対重量vs相対重量
スクワットの重量を評価する際には、
大きく分けて以下2つの方法があります。
- 絶対重量:持ち上げた重り自体の重さ
(1RM、もしくは推定1RMそのもの)
- 相対重量:体重に対する1RMの比率
例えば、
体重が80㎏で1RMが160㎏だとすると、
160÷80=2.0
絶対重量を評価で用いるか、
相対重量を評価で用いるかは
①どちらが
パフォーマンスにつながる指標として妥当か
②その評価方法を提示することで
選手のモチベーションがどちらに向かうか
③どちらがよりフェアな比較ができるか
を考える必要があります。
例えば、
「スクワットの重量がアップすると
スプリントパフォーマンスが向上する」
という
明確なデータが研究で示されていますが、
そういった
『自分の身体を加速させるようなパフォーマンス』
といった場合、
絶対重量よりも
相対重量のほうが適しているでしょう。
一方で
何か物体(ボールなど)や
相手選手に力を加えることが
メインの競技、種目では、
絶対重量の評価のほうが適していると
考えられます。
また、
評価方法をあらかじめ選手に提示するときに、
相対重量で評価することを伝えていたら、選手は
『いかに体重を増やさずに(増やし過ぎずに)
筋力を向上させるか』
を考えるでしょうし、
絶対重量で評価することを伝えていたら
『体重も増やしつつ筋力を向上させること』
といったことを考えるでしょう。
そのため、
そのチームの状態や目的を考える必要があります。
例えば、
- 除脂肪体重の増加が必要なのか?
- 除脂肪体重の増加は抑えて
筋力を上げる必要があるのか?
といったことです。
また、
その競技の特性によって
選手の体格は変わってくると考えられますが、
その特性がスクワットの重量に影響を与えるので
注意が必要です。
例えば、
身長のばらつきのない集団であれば
相対重量で評価するのは比較的フェアですが、
バスケットボールのように
身長のばらつきのあるスポーツでは、
身長の高い選手のほうが不利になります。
例えば、
170㎝70㎏のガードの選手と、
190㎝90㎏のセンターの選手がいたとして、
体重が重い(筋肉量が多い)という点に関しては
センターの選手のほうが有利ですが、
脚が長いという点に関しては不利になるので、
相対重量で評価した場合は、
センターの選手のほうが低い数値に
なってしまいます。
そういった場合は
意外と絶対重量で評価したほうが、
ガードの選手からセンターの選手まで
フェアに比較できる場合もあります。
まとめ
スクワットの測定では、
測定が終わった後にも、
どう数値を評価するのかが重要になってきます。
最大下で測定した場合は、
「推定最大挙上重量を算出するのか?」
「回数でそのまま評価するのか?」
「測定した最大挙上重量を
そのまま絶対重量で評価するのか?」
「相対重量を算出するのか?」
どのような解釈が適しているのかは
チームや目的によって変わってきます。
是非チームでの測定に
今回の内容を活かしてください!
参考資料
- Seitz, LB, Reyes, A, Tran, TT, de Villarreal, ES, and Haff, GG.
Increases in Lower-Body Strength Transfer Positively to
Sprint Performance: A Systematic Review
with Meta-Analysis. Sport. Med. 44: 1693–1702, 2014.
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