筋肥大を引き起こすキーポイントは何でしょうか?

その答えの1つは、
『トレーニングの総負荷を高めること』です。

トレーニングの総負荷は、
強度×レップ数×セット数によって
決定づけられます。

この強度を高めたり
レップ数を多くすることによって、
総負荷を高めることが可能になり、
その結果筋肥大につながると考えられます。

実際にSchoenfeldらの研究では、
低強度のトレーニングでも
高強度のトレーニングでも
限界まで追い込むことで
同様の筋肥大が期待できることを
報告されています。

総負荷を高めるためには様々な方法がありますが、
その中の1つに
ジャーマンボリュームトレーニング
(以下:GVT)といったものがあります。

今回は、GVTについてご案内します。

GVTの効果

GVTはドイツのウエイトリフターが
1970年代に実施していたトレーニング手法で、
1RMの60%の重さで

  • 10レップ
  • 10セット
  • 60~90秒レスト

3つのトレーニングを実施する方法です。

Amirthalinghamらの研究では、
GVTほどのボリュームで
トレーニングを実施することが
果たして効果的なのかといったことを
検証しています。

この研究では被験者を
GVT群(10セット実施)、
Modified GVT群(5セット実施)に分け
両群とも

  • スプリットルーティン
    (1部位を週1回で3か所)でトレーニングを実施
  • 1部位につき2種目(メイン種目&補助種目)
  • 期間は6週間

トレーニングを実施しました。

1部位につき2種目ということで、
GVT群は1部位2種目×10レップ×10セットなので
計200レップ/週、
Modified GVT群はその半分なので
100レップ/週のトレーニングを
実施したことになります。

その結果、
上肢・体幹部の筋力向上・筋肥大において、
Modified GVTのほうが大きな向上を示しました。

この結果は、
1部位200レップ/週といった
高ボリュームなトレーニングは、
逆に効果を損なう可能性があるといったことを
示しています。

現場への活用

基本的には筋力獲得においても筋肥大においても、
トレーニングボリュームが大きいほうが
効果的だと報告されています。

しかしながら、
トレーニングボリュームが大きくなり過ぎることも
逆効果になる場合があり、
そのことはトレーニングレベルが低いほうが
より顕著に表れます。

一方で、
トレーニングレベルが高ければ高いほど
疲労に対する耐性は大きくなるので、
トレーニングボリュームが大きくなったときの
トレーニング効果の減少は出にくいようです。

今回紹介したGVTにおいては、
被験者のベンチプレスの1RMの平均が80㎏程度と、
あまりトレーニングレベルが
高くありませんでした。

そのため高ボリュームのトレーニングに耐えられず、
効果が下がってしまったものと考えられます。

まとめ

今回の研究においては
1部位2種目のGVTは
効果的ではないという結論でしたが、
被験者の特性によっては
効果的であった可能性もあります。

言い換えると

  • トレーニングレベルが低い
    (筋力が低い、
    高ボリュームのトレーニングに耐えられるだけの
    経験がない)ような人は、
    GVTのようなトレーニングを実施する必要はない
  • トレーニングレベルの高い人は、
    いつもと違う刺激を加えるために、
    期間限定で実施するという選択肢は
    ありかもしれない

となります。

どんなトレーニングでも
万人に当てはまるものはありません。

是非選手のプログラムのボリュームを
考える際の参考にしてみてください!

参考文献

  1. Amirthalingam, T, Mavros, Y, Wilson, GC, Clarke, JL,
    Mitchell, L, and Hackett, DA. Effects of a
    Modified German Volume Training Program on
    Muscular Hypertrophy and Strength. J
    Strength Cond Res 31: 1, 2016.Available from:
    http://insights.ovid.com/crossref?an=00124278-900000000-96210
  2. Peterson, MD, Rhea, MR, and Alvar, BA.
    MAXIMIZING STRENGTH DEVELOPMENT IN
    ATHLETES: AMETA-ANALYSIS TO DETERMINE
    THE DOSE- RESPONSE RELATIONSHIP. J
    Strenght Cond Res 18: 377–382, 2004.
  3. Ralston, GW, Kilgore, L, Wyatt, FB, and Baker, JS.
    The Effect of Weekly Set Volume on Strength Gain:
    A Meta-Analysis. Sport Med 47: 2585–2601, 2017.
  4. Rhea, MR, Alvar, BA, Burkett, LN, and Ball, SD.
    A meta-analysis to determine the dose response for
    strength development. Med Sci Sports Exerc 35:
    456–464, 2003.
  5. Schoenfeld, BJ, Grgic, J, Ogborn, D, and Krieger, JW.
    Strength and hypertrophy adaptations between low- vs.
    High-load resistance training: A systematic review and
    meta-analysis. J. Strength Cond. Res. 31: 3508–3523, 2017.