『スクワット』と一言で言っても、
様々なスクワットがありますよね。

  • フロントスクワット
  • バックスクワット
  • オーバーヘッドスクワット
  • ブルガリアンスクワット
  • シッシースクワット

など、多くの種類のスクワットがあるかと
思います。

また、
同じバックスクワットでも降ろす深さで

  • クォータースクワット
  • ハーフスクワット
  • パラレルスクワット
  • ディープスクワット

と分けられたり、
重りを担ぐ位置で

  • ローバースクワット
  • ハイバースクワット

に分けられたりします。

本日は、
『ローバースクワット』と
『ハイバースクワット』の違い
について
解説していきます。

ローバースクワットとハイバースクワット

バックスクワットは
背中にバーベルを担いで行うスクワットですが、
低い位置(肩甲棘や三角筋後部あたり)で
担ぐのがローバー、
高い位置(僧帽筋上部あたり)で担ぐのが
ハイバー
と呼ばれます。

ハイバー、ローバーの担ぐ位置

このバーを担ぐ位置が、
下半身の使い方にも影響を及ぼすと
考えられています。

ローバースクワットでは
ハイバースクワットよりも
バーが後ろに位置するので、
ハイバースクワットの姿勢のまま
スクワットをすると、
後ろにバランスを崩してしまいます。

そのため、身体の前傾を大きくすることで
前後のバランスをとることができる
のです。

その動きに付随して、
股関節の屈曲角度も大きくなり、
大腿部前面よりも
大腿部・股関節後面の股関節伸展筋群を
より多く動員することができます。

ハイバースクワットはその逆で、
ローバースクワットに比べて
膝伸展の出力が大きくなるので、
より大腿部前面の筋が動員されます。

Glassbrookらの研究(1)でも
これら関節角度の違いは示されており、
被験者の最大挙上重量の平均は、
ローバースクワットのほうが大きかったことが
示されています。

もちろん人によっては
(例えば、大腿部・股関節後面よりも
大腿部前面が極端に強い人などでは)
ハイバースクワットのほうが
大きな重量を挙上できるという人も
いるかもしれませんが、
基本的には大腿部前面よりも
大腿部・股関節後面の筋肉のほうが
大きな力は出せる
ので、
重い重りを持ち上げたいという時には
ローバースクワットのほうが
適している
かもしれません。

一方で、ハイバースクワットには
ハイバースクワットのメリットがあります。

それは

  • 大腿部前面のトレーニングに適している
  • より広い関節角度でのトレーニングが可能

といったことです。

大腿部前面を鍛えられることは
先述した通りですが、
より広い関節角度というのは、
フィニッシュのポジションの違いに由来します。

ローバースクワットの場合、
バーを保持して立った姿勢で、
すでに体幹部は少し前傾します。

一方でハイバースクワットの場合は、
より直立した姿勢がスタート、
フィニッシュポジションになります。

そのため、ローバースクワットでは、
股関節より伸展した姿勢を通過しないので、
その部分の関節角度での負荷が
なくなってしまいます。

これは経験則になるのですが、
普段ローバースクワットを実施している選手は、
ハイバースクワットを実施している選手に比べて
ヒップスラストなどの股関節伸展位で
出力をするエクササイズが弱い傾向にあります。

そのため、
より広い関節角度でのトレーニングを求めたら、
ハイバースクワットのほうが
適しているかもしれません。

まとめ

ローバースクワットと
ハイパースクワットのメリットをまとめると
以下のようになります。

ローバースクワットのメリット

  • より深い体幹の前傾・股関節の屈曲をするので
    大腿部・股関節後面の筋肉を鍛えられる
  • 大きな重量を扱える

ハイバースクワットのメリット

  • 大腿部前面の筋肉を鍛えやすい
  • より広い関節角度でのトレーニングが可能

もちろん、ローバースクワットで、
体幹の前傾を股関節の屈曲ではなく
腰部の屈曲で出してしまうと股関節後面には
負荷はかからないでしょうし、
ハイバースクワットでも
体幹部の前傾を大きくすれば
股関節後面の筋肉に焦点を当てることは可能
です。

ただ、
目的に応じたトレーニングの実施のためにも、
基本的なハイバー・ローバーの違いは
抑えておきましょう!

参考資料

  1. GLASSBROOK, DJ, BROWN, SR,
    HELMS, ER, DUNCAN, S, and STOREY, AG.
    The high-bar and low-bar back-squats:
    a biomechanical analysis.
    J Strength Cond Res 33, 2019.