トレーニングは同じものを行い続けると
身体が刺激に慣れてしまい、
適応が小さくなってしまうと言われています。

刺激の種類を規定する代表的な変数として、
強度(%1RMなど)、レップ数、レスト時間、
挙上テンポなどが挙げられます。

そして
エクササイズ種目のバリエーションというのも
重要な刺激の1つになります。

特に下肢のエクササイズ種目の
バリエーションの中の1つのカテゴリとして、
片脚エクササイズor両脚エクササイズという
ものが挙げられます。

今回はその
片脚エクササイズと両脚エクササイズの
違いについて考察していきます。

片脚エクササイズvs両脚エクササイズ

一般的にエクササイズというのは
難易度に応じてプログレッションをしていきます。

難易度の観点でいうと
一見両脚エクササイズよりも
片脚エクササイズのほうが
難しく感じるかもしれません。

もちろん
片脚で自身の体重を支えなえればならないため、
バランス的な負荷という観点では
難易度は高まります。

一方で、
以前の記事でも紹介した通り、
ヒップヒンジの獲得に関しては
片脚エクササイズのほうが難易度は下がります。

これは遊脚を後方に挙上することによって
骨盤の前傾が促され、
自然と股関節が屈曲出来るからです。

片脚エクササイズと
両脚エクササイズのどちらからを導入するかは
各選手の能力次第だと言えそうです。

また最新のメタアナリシスにおける
片脚エクサイサイズと
両脚エクササイズの効果の比較では、
片脚エクササイズのほうが
片脚のジャンプ力をより向上し、
両脚エクササイズのほうが
両足での筋力発揮を
より向上させたことが報告されています。

一方でスプリントやアジリティにおいては
片脚エクササイズと
両脚エクササイズで有意な効果の差は
認められませんでした。

これを各競技の特性に当てはめて考えると、
ハンドボールのシュートや
フィギュアスケートのジャンプのような動作で
滞空時間を高めたい場合は
片脚エクササイズを優先的に実施、
レスリングにおける両脚での投げ動作などの
両脚での力発揮を高めたい場合は
両脚エクササイズが向いているといえそうです。

まとめ

片脚エクササイズと
両脚エクササイズの特徴をまとめると

片脚エクササイズ

  • ヒップヒンジの獲得が容易
  • 片脚のジャンプのパフォーマンスが高まりやすい

両脚エクササイズ

  • バランスの要求が少なく、安定して実施しやすい
  • 両足での筋力発揮能力が高まりやすい

となります。

しかしながら

「ハンドボールのシュートの滞空時間を
高めるためにすべてのエクササイズを
片脚で行おう!」

という方法も検討の余地がありそうです。

直接的な効果は
片脚エクササイズのほうが高いかもしれませんが、
土台としての筋肉量の増加や
時間的効率を考えると
両脚エクササイズに分があるでしょうし、
なにより冒頭でも紹介した通り、
『バリエーション』というのも
トレーニングには必要です。

どちらかに偏りすぎないようにしつつも、
競技の特性も考慮して、
バランスのよいプログラムを
組めるのが理想ですね!

参考文献

  1. Liao, K-F, Nassis, G, Bishop, C, Yang, W, Bian, C, and
    Li, Y-M. Effects of unilateral vs. bilateral resistance
    training interventions on measures of strength, jump,
    linear and change of direction speed: a systematic review
    and meta-analysis. Biol Sport 39: 485–495, 2021.