F=m×a
F・・・力
m・・・質量
a・・・加速度
これは物理学の基本的な式で、
これを変換すると
a=F/m
になります。
ジャンプや切り返しなど、
スポーツで求められる動きでは、
地面に力を加えてその地面反力で
自分の身体を加速させます。
そのため、
いかに大きな力で地面を押せるかが
高いパフォーマンスを発揮するキーになります。
「力(筋力)」を高めるには
色々な方法があるのですが、
競技によって意識すべきポイントが
変わってくるのです。
本日は
意識すべきポイントの『基礎』について
ご紹介していきます。
筋力を決定する要因
筋力を決定する要因は以下の図の通り、
- 筋断面積
- 神経の機能
- 筋線維組成(速筋と遅筋)の割合
があると考えられます。
他にも筋の機能としては、
『筋線維束長』というものも重要なのですが、
こちらは
パワーや筋収縮速度に影響を及ぼすものの、
筋力にはあまり影響を与えません。
基本的に、
トレーニング指導をする中で、
多くのトレーナーは
『筋肥大をさせて
(筋断面積を高めて)、
最大筋力を高める(神経の機能を向上させる)』
というステップを
ピリオダイゼーションの中で
行っていると思います。
一方で、
筋線維組成を最適化することであったり、
各サプリメントがどのように各要素に
影響を及ぼすのか、
競技特性によって筋力を向上させる
戦略に変化を加えるといったことのために、
少し踏み込んだ理解が必要です。
筋断面積を高める方法
筋断面積を高めるには、
以前の記事でも紹介した通り、
- 代謝ストレスを高める
- 筋ダメージを与える
- 大きな力発揮をする
といった刺激を筋肉に与え、
十分な栄養を補給することで達成されます。
低強度でも高強度でも、
刺激の総量が同じであれば
同じだけ筋肥大をすることも
研究で明らかになっています(1)。
つまり、
自重トレーニングのような
強度の小さなトレーニングであっても、
回数をこなして総負荷を大きくすれば、
ウエイトトレーニングに近い筋肥大が
可能だということです。
神経の機能を高める方法
一方で高強度のトレーニングのほうが、
最大筋力の向上は大きかったということも
報告されています(1)。
これは低強度のトレーニングでは
神経系には十分な刺激が
与えられていなかったことも一要因でしょう。
ちなみにカフェインの摂取で
一時的に筋力が高まるのも、
神経系からの命令の大きさの向上によるものだと
考えられています(2)。
※カフェイン摂取によるメリットを
ご紹介しているブログ記事はコチラ
先ほど紹介したa=F/mで考えると、
筋力が向上しても
それ以上に体重が増えれば、
なかなか加速度は増えませんよね。
筋肥大のみで筋力を向上させると、
『出せる力は大きくなったけど、
体重あたりの筋力が高まらなかった結果、
身体能力が上がらない』
といったことも起こり得ます。
「じゃあ自重などの低強度トレーニングで
筋肥大をさせた後に、
高強度トレーニングを実施すれば良いのでは?」
という考えにもなりそうですが、
実は筋肥大のフェイズでも少し気をつけたほうが
良いことがありそうです。
筋線維組成
- 筋断面積
- 神経の機能
これら2つだけで考えると、
『低強度のトレーニングで筋肥大をしても、
後で神経の機能を高めれば
そのデメリットを打ち消せる』
となりますが、
実はトレーニングのやり方が、
この筋線維組成(速筋と遅筋の割合)にも
影響してくるので、
どのように筋肥大をしたかが
その後の最大筋力にも関わってきそうです。
研究では
筋肉の特性はMHC(ミオシン重鎖)
のサブタイプで判別することが多いです。
TypeⅡX⇒速筋
TypeⅡa⇒中間筋
TypeⅠ ⇒遅筋
と言い換えることができます。
基本的に、
ウエイトトレーニングでは、
この速筋の割合は減っていってしまいます。
それをいかに維持するかということが
重要なのですが、
次回、詳しく解説していきます!
参考資料
- Schoenfeld, BJ, Grgic, J, Ogborn,
D, and Krieger, JW. Strength and hypertrophy
adaptations between low- vs. High-load
resistance training: A systematic review
and meta-analysis.
J. Strength Cond. Res. 31: 3508–3523, 2017. - Warren, GL, Park, ND, Maresca,
RD, McKibans, KI, and Millard-Stafford,
ML. Effect of caffeine ingestion on muscular
strength and endurance: A meta-analysis.
Med Sci Sports Exerc 42: 1375–1387, 2010.
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- ウエイトトレーニング, パフォーマンス, 筋力トレーニング
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