誰でも一度は縄跳びをやったことが
あるかと思います。

縄跳びをしたことが無いという人は
いないのではないでしょうか?

今回はこの縄跳びの活用方法について
紹介していきます。

スティフネスがランニングエコノミーに与える影響

前回の記事において、
アイソメトリックな
足関節底屈トレーニングによって
アキレス腱のスティフネスが増大し、
それに伴ってランニングエコノミーの向上が
認められた研究を紹介しました。

これはアキレス腱が余計な伸長をしてしまうと、
それを代償する形で
下腿三頭筋が余計なコンセントリック収縮を
しなければいけないため、
腱のスティフネスが高いほど
エネルギーが節約出来るためだと
考えられています。

一方で、
ランニングエコノミーを決定づけるのは
アキレス腱の特性だけではありません。

股関節や膝関節で力を生み出し、
足関節はアイソメトリックに近い形で
地面に伝わると考えたとき、
その先の『足部のアーチ』の特性も
ランニングエコノミーに
大いに関わってくると考えられます。

いくら股関節、膝関節で大きな力を生み出せても、
いくらアキレス腱のスティフネスが高くても、
足部のアーチ構造が虚弱であれば
結局力は効率的には伝わりませんよね。

ここで役立ってくるのか、
『縄跳び』です。

本日は縄跳びが足部アーチのスティフネス、
ランニングのパフォーマンスに与える影響について
検証した研究を紹介致します。

足部アーチのスティフネスに縄跳びが与える効果

検証された研究では長距離走選手を

  • 縄跳び群
  • コントロール群

2群に分け、
縄跳び群は10週間、
アップの時に縄跳びを行いました。

実施時の注意点として

①肘、肩の動きは最小限で、手首で縄を回す

②接地時間は最小限に、ジャンプ高は最大限に

③膝を少し曲げ、前足部で柔らかく接地する

3つのことを意識しています。

その結果、介入群は10週間後には

  • 足部アーチのスティフネス
  • Reactive Strength Index(RSI)
  • 3㎞のタイムトライアルのタイム

などに向上が認められました。

また、
3㎞のタイムの変化とRSIの変化、
足部アーチのスティフネスの変化は
それぞれ有意な相関(r=-0.48,-0.34)を示しており、
これらの変化が3㎞に影響を与えたと考えられます。

まとめ

今回の研究において、
直接的にランニングエコノミーは
測定されてはいませんが、

縄跳びによる足部アーチのスティフネス向上
⇒RSI(下肢全体のスティフネスや反応筋力)の向上
⇒ランニングエコノミーの向上
⇒3㎞タイムトライアルの向上

といったように繋がっていると考えられます。

またこの研究においては
CMJなどのパフォーマンスの向上も
認められているため、
持久系のパフォーマンスだけではなく、
瞬発的なパフォーマンスの向上にも
縄跳びは寄与するかもしれません。

古典的な運動である縄跳びですが、
これらの効果を認識したうえで、
トレーニングプログラムに組み込むのも
良いかもしれませんね!

参考文献

  1. García-Pinillos, F, Lago-Fuentes, C, Latorre-Román, PA,
    Pantoja-Vallejo, A, and Ramirez-Campillo, R. Jump-rope
    training: Improved 3-km time-trial performance in
    endurance runners via enhanced lower-limb reactivity and
    foot-arch stiffness. Int J Sports Physiol Perform 15:
    927–933, 2020.
  2. Jump-Rope Training: Improved 3-km Time-Trial
    Performance in Endurance Runners via Enhanced
    Lower-Limb Reactivity and Foot-Arch Stiffness
    García-Pinillos et al. (2020)