指導対象の選手や、
トレーニング指導者の考えによって
プログラム内で実施されるトレーニングは
異なってきますよね。

しかし、その中でも
『スクワット』は多くの場合、
プログラムの中で
中心的な扱いを受けることも多いでしょう。

スクワットといっても様々な実施方法があります。

  • オーバーヘッドスクワット
  • ブルガリアンスクワット
  • スミスマシンを用いたスクワット
  • ハックスクワット

などです。

その中でも特にメジャーなのが、
バーベルを用いた
フロントスクワットとバックスクワットでしょう。

本日はこの2つの違いや使い分けについて
掘り下げていきましょう。

フロントスクワット・バックスクワット、どちらを実施するか

この2つの種目自体の
バイオメカニクス的な違いに踏み込む前に、
プログラムを考える上では
その後の繋がりを考えてみましょう。

具体的には、
クリーン等のクイックリフトを実施するか
どうかという部分です。

もしもクリーンを実施するのであれば、
そのキャッチ姿勢にあたる
フロントスクワットの実施は
マストとなるでしょう。

同様に、
もしもスナッチを実施するのであれば
オーバーヘッドスクワットの実施が
必要になります。

具体的には指導頻度が
それほど多くないチームの場合は、
技術的に難易度の高いクイックリフトは実施せず、
バーベルを用いた
ジャンプスクワットで代用する場合が多いです。

逆に、
バーベルでのジャンプスクワットを実施する場合は
バックスクワットの習得は必須になりますよね。

フロントスクワットvsバックスクワット

次にフロントスクワット、
バックスクワット自体の特徴に
焦点を当てましょう。

この2つのスクワットでは、
バーベルを担ぐ位置が異なります。

フロントスクワットではバーを身体の前方で担ぎ、
肩で支えるため、
体幹の上部がある程度
立っていることが求められます。

腰部がニュートラルで
固定されている前提で考えると、
体幹下部の前傾が股関節の屈曲に繋がります。

体幹上部が立っているフロントスクワットでは、
必然的に体幹下部も前傾しづらくなるため、
バックスクワットに比べて
股関節の屈曲は小さくなると考えられます。

実際に、
フロントスクワットとバックスクワット中の
EMGを測定した研究でも、
フロントスクワットで
有意に外側広筋のEMGが大きく、
バックスクワットで有意に
半腱様筋のEMGが高かったことが
報告されています(1)。

これは上記の仮説通り、フロントスクワットよりも
バックスクワットのほうが
股関節主働の動作を行っていた結果だと
考えられます。

まとめ

フロントスクワットとバックスクワット、
どちらのほうが優れているかといった
議論を目にすることもありますが、
結論から言えば
ケーズバイケースでの使い分けるべきかと
思います

チームの状況、競技特性によっても
様々な使い分けが
必要になってくると考えられるので、
どんな状況になっても
指導できるように指導者自身も
各種目が指導出来るよう
準備しておく必要がありますね!

参考文献

  1. Yavuz, HU, Erdağ, D, Amca, AM, and Aritan, S.
    Kinematic and EMG activities during front and
    back squat variations in maximum loads.
    J Sports Sci 33: 1058–1066, 2015.Available from:
    http://dx.doi.org/10.1080/02640414.2014.984240