前回の記事では、
エネルギーの供給機構である
『解糖系』と『有酸素系』を、
2つの工場に例えて、
グリコーゲンが分解される過程の
イメージを紹介しました。

 

 

 

 

 



Training Scienceより引用

そして、
エネルギーの供給能力を鍛えるための運動として

  • 非常に高い強度の運動で、
    無酸素エネルギー生産工場の能力を
    高める運動(無酸素持久的トレーニング)
  • 強度の高い運動を繰り返しながら
    グリコーゲンを分解しつつも、
    有酸素エネルギー生産工場を
    フル稼働させる運動(HIIT)
  • ある程度の時間維持できる中強度
    (LT~OBLA)の運動で、
    乳酸が溜まりつつも持続的に行う運動
    (中強度持久的トレーニング)
  • 乳酸が溜まり過ぎない強度
    (LTもしくはそれ以下)で
    有酸素エネルギー生産工場を
    長い時間稼働させる運動(LSD)

などが挙げられるということを紹介しました。

今回は
「強度にメリハリをつけた持久的トレーニング」
というテーマで
具体的な例をご紹介します。

適切な運動の組み合わせ方

有酸素能力を鍛えるための
ベストの方法はどのようなものでしょうか?

先ほど挙げた例でいうと、
LSDが一番有酸素エネルギー生産工場を
長い時間稼働することが出来ますが、
HIITのほうが
稼働時のエネルギー生産量は大きくなります。

はたまたその中間に位置する
中強度の持久的トレーニングで、
ある程度の強度も量も
両立するのが良いのか?
もしくは複数の強度を組み合わせるのが良いのか?

この問いに対する答えの1つとして、
Polarized Trainingというものが挙げられます。

Stoggl&Sperlichの研究では、
48人の持久系アスリートを
以下4つのグループに分けて
その効果を比較しました。

  • LSD群(血中乳酸濃度:~2mmol)
  • 中強度持久トレーニング群
    (血中乳酸濃度:3~5mmol)
  • HIIT群(90%HRmax~)
  • Polarizedトレーニング群
    (LSDとHIITの組み合わせ)

その結果、
Polarizedトレーニング群が
他の3群と比較して
有意に疲労困憊時間を延長させたことが
明らかになりました。

有酸素エネルギー供給系に
長い時間負荷をかけ続ける運動(LSD)や、
高い負荷をかける運動(HIIT)単品ではなく、
長い時間負荷をかける運動も、
高い負荷をかける運動も
両方実施するほうが効果的ということになります。

また両方の負荷をかけたいからといって、
間の強度の運動(中強度持久的運動)を
行うのではなく、
メリハリをつけて低強度なら低強度、
高強度なら高強度と
セッションによって
違いを強調したほうに効果があったというのも
面白いところです。

まとめ

様々な強度設定の持久的トレーニングがある中で、
メリハリをつけて低強度、
高強度を処方するのが最も効果的というのは
面白い知見ですよね。

今回紹介したPolarizedトレーニング、
気になった方は是非深堀して
調べて活用してみてください!

  1. Stöggl, T and Sperlich, B. Polarized training has greater
    impact on key endurance variables than threshold, high intensity,
    or high volume training. Front Physiol 5 FEB: 1–9, 2014.