『βアラニン』

これはまだ
日本では聞き慣れない
サプリメントかもしれません。

欧米では20年ほど前から広まり始めましたが、
日本のサプリメントメーカーにおいては
ここ数年売り出され始めたサプリメントです。

人間が筋肉を使って強度の高い運動を行うと、
筋肉の中に水素イオンや
乳酸などの代謝産物を生成し、
筋が酸性に傾いてしまいます。

βアラニンは
体内で必須アミノ酸である
ヒスチジンと共にカルノシンを生成し、
そのカルノシンが水素イオンに対する
緩衝作用の役割を果たし、
運動強度の維持に貢献するとされています。

走り高跳びや100m走などの競技では
そもそも代謝産物の蓄積が大きく影響しないので、
その恩恵は少ないでしょう。

またマラソンなどの長時間運動の場合は、
筋が酸性に大きく傾くほどの
強度の運動ではないので
最後のスパートでない限り
その恩恵は少ないと考えられます。

βアラニンが活躍するのは、その間の

『強度も高く、
 そこそこ持続時間がある運動』

です。

今回は、βアラニンの効果と
どのような場面で役に立つのか、
ご紹介します。

βアラニンはどのような場面で役立つのか?

Saundersらの
βアラニンの効果に関するメタアナリシスでは

  • 30秒以下の運動
  • 30秒~10分の運動
  • 10分以上の運動

それぞれへの効果において、
30秒以下、10分以上の運動に対しては
有意な効果がなく、
30秒~10分の運動には
有意な効果が認められたことが
報告されています。

30秒~10分の運動といえば
競技は限られてきますよね。

陸上中距離や格闘技は当てはまりますが、
時間だけで判断すると
多くの球技スポーツは当てはまりません。

しかしながら、
球技スポーツこそβアラニンの摂取が
有効だと考えられるのです。

間欠的運動への効果

バスケットボールや
サッカーなどの球技スポーツは、
100m走やマラソンなどと異なり、
間欠的な運動を行うスポーツです。

間欠的運動とは
運動と休息(もしくは低強度運動)を
交互に繰り返す運動で、
休息を挟むからこそ
競技時間が長くても高強度の運動が可能になるし、
必要になります。

実はβアラニンは
この間欠的な運動への効果についても
研究で検証されています。

βアラニン3.2g/日を12週間摂取し、
その前後での
Yo-Yoテスト(IR2)を実施したところ、
プラセボ群では変化が見られなかった一方で、
βアラニン摂取群は34.3%の向上、
プラセボ群と比較した効果量にしてd=1.83と、
かなり大きな向上を示しました。

これは先ほどのメタアナリシスでも示された
30秒~10分の運動への効果よりも大きく、
単一の研究ではありますが、
球技スポーツのような間欠的な運動にこそ
βアラニンは
大きな効果を発揮するのではないかと
考えられます。

まとめ

継続摂取をすることで
筋の酸性への傾きを抑えてくれるβアラニン。

試合後半の持久力の低下が気になる選手は
トレーニングを積むことはもちろんですが、
補助的な役割として
摂取を検討してみてはいかがでしょうか?

注意点として、
運動直前のみの摂取では
あまり効果がないことが挙げられます。

継続的に摂取しましょう。

また摂取後に少し肌のピリつきがあるので、
気になる人は小分けの摂取を推奨します!

参考文献

  1. Saunders, B, Elliott-sale, K, Artioli, GG,
    Swinton, PA, Dolan, E, Roschel, H, et al.
    β -alanine supplementation to improve
    exercise capacity and performance :
    a systematic review and meta-analysis.
    658–669, 2017.
  2.  Saunders, B, Sunderland, C, Harris, RC,
    and Sale, C. β-alanine supplementation
    improves YoYo intermittent recovery test
    performance. J Int Soc Sports Nutr 9: 1–5, 2012.