睡眠は健康にも大変重要なことで、
昔から

『寝る子は育つ』

と、よく言われていますが、
本当にこの重要性を理解している選手は
少ないのではないでしょうか。

学生アスリートはもちろん、
成人でスポーツをしている人にとっても
同様に重要な問題です。

そこで今回は、

“身体づくりと睡眠の関係について”

ご紹介します。

アスリートの成長にも睡眠は重要!

睡眠は
子どもから大人への発育・発達的な成長
だけではなく、
筋肥大や筋力向上などの、
『アスリートとして必要なフィジカル的な成長』
にも重要な役割を果たします。

まず、
政府が統計を公開しているe-StatのHPから
2014年の日本人の平均睡眠時間をまとめました。

一番割合として多いのは6~7時間、
全体の34.1%が
この睡眠時間をとっているようです。

その睡眠時間をとっている人の主観も、
アンケートで調査されているのですが、
以下の表の通り、
8割以上の人が6~7時間の睡眠で
「まあまあとれている~充分とれている」

と感じているようです。

では、
アスリートもこの程度の睡眠で十分でしょうか?

答えは『NO』です。

以前の記事でも紹介した通り、
6時間睡眠の選手は
9時間睡眠の選手に比べて、
約4倍怪我を受傷していたデータがあります。

怪我の観点から見ても、
8時間程度の睡眠はとりたいところですが、
身体作りの観点からみても睡眠は非常に重要です。

Nedeltchevaらの研究では、
5.5時間睡眠をとった被験者は
8.5時間睡眠をとった被験者に比べて
筋肉量が減少しやすかった。

一方で、
8.5時間睡眠をとった被験者は、
体脂肪が減りやすかった
ことが示されました。

その実験では
食事内容は管理されていたのですが、
睡眠時間が不足するとレプチンとグレリンという
食欲をコントロールするホルモンのバランスが
崩れることが分かっています。

そして、
暴飲暴食からよりだらしない身体へと
つながってしまう可能性もあります。

身体を作る
(=無駄な脂肪をつけずに筋肉量を増加)には
食事管理と合わせてまずはしっかりと睡眠を
とることが重要
だと言えます。

また、
ここで問題になってくるが、
冒頭のアンケート調査でも述べた通り
『6~7時間の睡眠時間で充分』
と考えている日本人が非常に多いことです。

まとめ

例えば、
選手に生活習慣の指導をするにしても、

「充分眠っているか?」

との問いに対して

「はい!ばっちりです!」

と答える。

しかし、
実際には6時間程度しか眠っていなかった
ということも十分にありえるのです。

また、
普段の生活で自分が何時間眠っているのかを、
把握していない選手も非常に多いでしょう。

試しに、

「今日何時間寝た?」

と選手に質問してみてください。

おそらく、
多くの選手が答えるまでに少し計算する時間が
必要になるはずです。

そのため、
睡眠を含む選手の生活習慣を指導する場合は、

  • 充分な睡眠とは何時間程度なのか
  • 充分な睡眠をとることで、
    どのようなメリットがあるのか

を教育することに加え、

  • どれくらい睡眠をとったかを
    振り返る機会を提供する

ことが必要になってきます。

トレーニングの効果を出すには、
トレーニング中の取り組みと同等、
それ以上に家での過ごし方が重要になってきます。

参考にしてみてください!

参考資料

  1. Milewski, MD, Skaggs, DL, Bishop, G a., Pace, JL,
    Ibrahim, D a., Wren, T a. L, et al.
    Chronic Lack of Sleep is Associated With
    Increased Sports Injuries in Adolescent Athletes.
    J Pediatr Orthop 34: 129–133,
    2014.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=01241398-201403000-00001
  2. Nedeltcheva, A V, Kilkus, JM, Imperial, J,
    Schoeller, DA, and Penev, PD.
    Insufficient sleep undermines adiposity.
    Ann Intern Med 153: 435–441, 2010.Available from: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20921542
  3. Spiegel, K, Tasali, E, Penev, P, and
    Cauter, E Van. Brief Communication:
    Sleep Curtailment in Healthy Young Men Is
    Associated with Decreased Leptin Levels,
    Elevated Ghrelin Levels, and Increased Hunger
    and Appetite. Am Coll Physicians 141:
    846–850, 2004.