前回の記事では、
運動パフォーマンスにおける
カフェイン摂取のメリット
をご紹介しました。

以下でおおまかな内容を復習しましょう。

  • カフェインの摂取は
    最大筋力、筋持久力、持久力を高める。
  • 効果的な摂取量、タイミングは、
    運動60~90分前に体重×3㎎のカフェイン摂取。

体重70㎏の場合、
体重×3㎎の摂取であればカフェイン210㎎、
コーヒーに換算すると350ml程度の量
になります。

このくらいであれば十分摂取可能ですよね。

しかしながら、

カフェインは摂取方法を間違えると、
デメリットも表れます。

今回は、
カフェインを摂取することの留意点を紹介します。

カフェイン摂取のデメリット①睡眠への影響

カフェイン摂取のデメリットとして、
寝つきが悪くなるということがあります。

これは一般的にもよく知られていますよね。

しかしながら、
カフェインの効果が
どの程度持続するかについては、
あまり知られていないと思います。

Drakeらの研究(1)では、
カフェイン400㎎を

  • 摂取しなかった
  • 就寝直前に摂取
  • 就寝3時間前に摂取
  • 就寝6時間前に摂取

の4グループで、
寝付くまでの時間にどの程度差があったのか
実験をしました。

結果としては

  • 摂取なし⇒21.0±9.0分
  • 就寝直前に摂取⇒56.7±74.2分
  • 就寝3時間前に摂取⇒65.2±66.2分
  • 就寝6時間前に摂取⇒44.2±44.6分

就寝6時間前の摂取であっても
寝付くまでの時間に大きな遅延が見られました。

カフェイン400㎎というと、
コーヒー換算で670mlになるので
なかなかの量です。

それにしても
6時間後でもこれだけの影響がある
というのは非常に興味深いですよね。

16時に摂取したとしても、
22時就寝に大きな影響がある
ということになります。

この研究で
6時間前以前の摂取の群がなかったので、
その時間までしか分かりませんが、
8時間前、10時間前の摂取でも
睡眠に影響を及ぼす可能性
はありますよね。

また、

カフェイン摂取による寝つきの変化は、
グラフの標準偏差が大きいことから、
カフェイン耐性の差があると考えられます。

カフェインを、
試合のパフォーマンス向上の目的だけでなく、
トレーニングの質の向上目的で
使用している選手もいるかと思いますが、
夕方以降のトレーニングで
カフェインを使用し過ぎると、
トレーニングで扱える重量は増加しても、
その後の睡眠の質の悪化、
リカバリーの不足
によって、
もったいない結果に
なってしまうかもしれませんね。

とはいえ
前回の記事でも紹介した通り、
カフェインの摂取が
パフォーマンスを高めるのは間違いないので、
睡眠のタイミングを考えて
付き合っていきましょう!

カフェイン摂取のデメリット②脱水

また、
これも一般的に知られているかもしれませんが、
カフェインの摂取には
利尿作用からの脱水の可能性

といったデメリットも考えられます。

では実際、

「どの程度のカフェインを摂取すると、
どの程度脱水が起きるのか?」

ということについても紹介していきます。

Ruxtonらのレビュー論文(2)で
紹介されている研究では、
カフェイン摂取量と脱水(尿量の増加)について
調べたところ、
体重×6㎎を超えるような多量のカフェイン摂取
では有意な尿量の増加
が認められています。

しかしながらその尿量の増加分は、
カフェインを摂取するときのコーヒーの水分で
カバーできているようです。

お茶に関しても、
カフェイン含有量はコーヒーよりも少ないため、
錠剤などでのカフェイン摂取でない場合、
カフェインを含む飲み物自体の水分で
損失分は補えているといえそうです。

しかしながら、
『水分を摂取する』という目的であれば、
お茶やコーヒー以外の飲み物をチョイスするのが
ベターでしょう。

まとめ

カフェインの摂取はメリットがある反面、
デメリットもついて回ります。

以下に、デメリットを相殺するための
方法をまとめます。

  • カフェインは6時間以上作用するので、
    睡眠への影響を考えて摂取するべき。
  • カフェインには利尿作用はあるものの、
    カフェインを含む飲み物の水分で相殺できそう
    (しかし、効率的な水分摂取が目的なら、
    カフェインを含まないものをおすすめ)

前回の記事で紹介したメリット、
今回の記事で紹介したデメリットをもとに、
カフェインとの上手な付き合い方
考えてみてください!

参考資料

  1. Drake, C, Roehrs, T, and Shambroom, J.
    Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours
    before Going to Bed. J Clin Sleep Med 9
    : 1195–1200, 2013.
    Available from: http://scholars.unh.edu/honors/103
  2. Ruxton, C. The impact of caffeine on mood,
    cognitive function, performance and
    hydration: a review of benefits and risks.
    Br Nutr Found Nutr Bull 33: 15–25, 2008.