「下半身のウエイトトレーニングといえば?」
この質問で思い浮かぶ答えは何でしょうか?

  • スクワット
  • デッドリフト
  • クリーン
  • レッグプレス

など、トレーニング方法は様々ありますが、
近年、注目を集め始めた
『ヒップスラスト』
という方法はご存知でしたか?

今回はこの『ヒップスラスト』について、
ご紹介いたします。

ヒップスラストの実施方法

ヒップスラストとは、
横に向けたベンチに肩を乗せて仰向けになり、
骨盤上に乗せたバーベルを持ち上げる

トレーニングです。

実施方法は以下のようになります。

横に置いたベンチに対して背中
(ローバースクワットで
バーを乗せる部分よりも少し下)を当てる。

恥骨部へ圧力が加わるので、
パッドやバランスパッドでカバーすることを
推奨。(図1)

図1

② バーを股関節上まで転がして、
足を身体に近づける。
足は肩幅、膝は90度の姿勢を作ったら、
足を地面につけ、背中でベンチを押すように
力を加える。(図2)

図2

③ 大きく息を吸い込んで体幹部を安定させたら、
骨盤のニュートラルポジションを保ったまま、
股関節の伸展でバーベルを持ち上げる。
(過剰な腰椎の伸展は用いないように注意。)
膝は内側に入らないように真っすぐにキープ。
足部はフラットに地面についたまま、

もしくは少し背屈させて踵(かかと)で
地面を押す。

体幹・大腿が地面と平行になるまで、
もしくは10度程度股関節が伸展するまで挙上。
トップのポジションで
1カウントキープ。(図3)

図3

④ 降ろす動作はコントロールされたスピードで
地面に降ろすまで行う。

ヒップスラストの効果

ヒップスラストは、
スクワットなどでは刺激の与えづらい
股関節伸展位での臀部への刺激が与えられます。

また、
膝関節を屈曲位でエクササイズを実施するため、
ハムストリングスよりもピンポイントに
殿筋への刺激が入ります。

ヒップスラストの実施テンポのバリエーション

ヒップスラストの実施テンポには以下のような
種類があります。

A. スタンダードな実施方法
(Standard Technique)

① 1カウントで上げる
② 1カウントキープ
③ 1カウントで降ろす
④ 1カウント地面でレスト

B. 代謝ストレスを大きくする方法
(Constant Tension Method)

① 1カウントで上げる
② 3カウントキープ
③ 1カウントで降ろす
④ バーベルが地面に触れる直前で上げる

C. 神経的適応を促す方法
(Rest Pause Method)

① 1 カウントで上げる
② 1 カウントキープ
③ 1 カウントで降ろす
④ 3~5カウント地面でレスト

D. 少ないセットで追い込む方法

Bの方法でオールアウト後
Cの方法で+1~5回追い込み

これらを目的に応じて使い分けるのが
良いでしょう。

ヒップスラストの負荷の目安

ヒップスラストでは
高いレベルのパワーリフターであれば
200㎏オーバー、時には300㎏近い重量も
挙上可能
だとされています。

私自身が選手への指導をしている経験の中でも、
バックスクワットの1.5倍程度の重量を
扱える
選手も多いです。

もちろん、最初は
自重or比較的軽い重量でフォームを習得してから
徐々に重量を増やしていくことが前提となります。

是非トレーニングの選択肢の1つとして
考えてみてください。

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)

参考資料

  1. Contreras, B, Cronin, J, and Schoenfeld,B.
    Barbell Hip Thrust. Strength Cond J 33: 58–61, 2011.