前回の記事では
様々な『スクワット』に着目し、
バックスクワットの中でも
バーの担ぐ位置で
『ハイバースクワット』と
『ローバースクワット』に分けられることや、
それぞれのスクワットの特徴、
負荷のかかる筋の違いなどについて
解説しました。
今回は
『バックスクワット』と
『フロントスクワット』の違いについて
考えていこうと思います。
バックスクワットとフロントスクワット
バックスクワットとフロントスクワットの違いは、
バーを身体の後ろ(背中の上部)で担ぐか、
身体の前(肩に乗せて)で担ぐかです。
このバックスクワット、
特にローバースクワットにおいては
身体を少し前傾させておかないと
バーが背中を滑り落ちてしまうので、
身体の前傾に伴う股関節の屈曲が
大きくなります。
一方で
フロントスクワットにおいては、
身体が前傾し過ぎると
バーが前方に落ちてしまうので、
体幹上部はなるべく立てておく必要があります。
バックスクワットの中でも、
ハイバースクワットは
ローバースクワットよりも
身体の前傾は小さくなるので、
バックスクワットの中でも
少しフロントスクワット寄りの
フォームになります。
そのため、
それぞれのスクワットの中での
関節の負担(発揮トルク)は
以下のようになると考えられます。
■股関節
ローバースクワット>ハイバースクワット
>フロントスクワット
■膝関節
フロントスクワット>ハイバースクワット
>ローバースクワット
「フロントスクワットは
バーが身体の前方にあり、
股関節の垂線からの水平距離が遠くなるため
股関節の負荷が増える」
といった意見を聞くこともありますが、
しっかりと胸椎を伸展し、
股関節を後ろに引くようにすれば
確かにそのような負荷を
かけられるかもしれません。
しかしながら
ある程度の大きな負荷になると
それに耐えられずに
体幹部は直立してくると考えられるので、
どのようなフォームを意識するかの違いはあれど、
紹介した3種類のスクワットは
ある程度は先述した
股関節、膝関節の貢献度の違いを示すでしょう。
トレーニングプログラムへの導入のポイント
では
それぞれのスクワットには
どのようなメリットがあるのでしょうか。
股関節、膝関節への貢献度で示した通り、
大腿部前面を中心に鍛えたければ
フロントスクワット、
大腿部・股関節後面を中心に鍛えたければ
バックスクワットが適しているでしょう。
一方で、
持ち上げられる重量自体は
バックスクワットのほうが
大きくなることが多いので、
下半身により大きな負荷をかけたければ
バックスクワットのほうが適していると
考えられます。
一方で、
脊椎・腰背部へのストレスを避けたいとき、
例えば腰部のリハビリからの
復帰課程においては
先にフロントスクワットを導入することが
賢明でしょう。
また、肩へのストレスという観点においても、
バックスクワットは
肩関節外転・外旋位という
脱臼のリスク肢位をとるので
肩関節脱臼のリハビリ中の選手も
バックスクワットは避けたほうが
いいかもしれません。
クリーンの分習としてのフロントスクワット
また、
クリーンのキャッチ姿勢は
フロントスクワットと非常に類似しています。
そのため、クリーンを
ファーストプル⇒セカンドプル
⇒エクステンション⇒キャッチ
と分けると、
フロントスクワットは
クリーンのキャッチ局面の分習法とも
とらえられます。
そのため、
クリーンにつなげるという観点では
フロントスクワットはその点での
メリットもあるでしょう。
まとめ
・フロントスクワットとバックスクワット
(ローバースクワット、ハイバースクワット)
における膝関節、股関節にかかる負荷は
それぞれ
■股関節
ローバースクワット>ハイバースクワット
>フロントスクワット
■膝関節
フロントスクワット>ハイバースクワット
>ローバースクワット
・バックスクワットのメリットは、
下肢により大きな負荷をかけられること
・フロントスクワットのメリットは、
脊椎・腰背部のストレスを軽減できること
肩関節の外転・外旋ストレスが少ないこと
・フロントスクワットは
クリーンの分習法としても活用可能
プログラム作成の際には、
それぞれのメリットを基に
どのように活用するのかを
検討してみてください!
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