「ウエイトをすると身体が重くなるんですよねー」

このような事を話す選手も
少なくないと思います。

トレーナーであれば
そんな認識はしていないと思いますが、

「そんなことないよ!」

と言っていれば良いかというと、
そうではありませんよね。

「選手がなぜそのような認識を持っているのか?」

「どこからそういった誤った情報を
得てしまったのか?」

「自分で実際にトレーニングに取り組んでみて
そのような体験をしたのか?」

「ただイメージで話してしまっているのか?」

状況に応じて
適切な説明をしなければいけませんよね。

そこで今回は

『ウエイトをやると身体は重くなるか?』

について考えていきます。

身体が重くなるとは?

「身体が重くなる」という言葉の定義は
少し曖昧な気がしますよね。

そこで選手が感じる
「ウエイトで身体が重くなる」という状態を
考えうる限り以下にまとめてみました。

  • 疲労で身体が動きづらくなった。
  • 体脂肪が増加してしまい、
    体重比の出力が落ちてしまった。
  • 筋肉量は増えたが、
    最大筋力の向上が小さいため
    体重比の出力が落ちてしまった。

それぞれについて解説していきます。

疲労で身体が動きづらくなった

以前の記事でも紹介しましたが、
アスリートのコンディショニングの概念として、
フィットネス ー 疲労理論というものが
挙げられます。

これは、

「フィットネス(体力)というプラスの要素と
疲労というマイナスの要素の足し引きで
パフォーマンスが決まる」

といったものです。

単純に考えて、競技練習に加えて
ウエイトトレーニングを実施すれば、
その分、疲労は溜まりますよね。

翌日のことだけを考えたら、確かに
パフォーマンスは落ちる(身体が重くなる)かも
しれませんが、
そのパフォーマンスの低下を危惧して
成長の機会を逃すのはもったいないと思います。

体脂肪が増えてしまい、体重比の出力が落ちてしまった

トレーニングをするときは、
筋肉をつけるために食事にも気を遣いますよね。

この時、食べるものの内容と、
体重増加のペースを見誤ると、
筋肉以上に体脂肪が増えてしまうかもしれません。

筋肉の材料はタンパク質です。
その摂取が不十分なまま、
エネルギーだけを摂取してしまうと、
それは体脂肪になってしまいますよね。

またいくつかの研究を見ても、
除脂肪体重が増えるペースは
1ヶ月で2%(1㎏)程度だと考えられます。

そのペースをオーバーしてしまうと、
残りの余剰エネルギーは体脂肪になってしまい、
その結果パフォーマンスが下がってしまう
可能性も高いです。

筋肉量は増えたが、最大筋力の向上が小さいため
体重比の出力が落ちてしまった

例えば、
低強度・高ボリュームの
ウエイトトレーニングであっても、
筋肥大をすることができます。

しかしその一方で、
強度が低い場合は
最大筋力の向上には非効率的であり、
筋肥大は出来たけど
最大筋力向上があまり見られなかったとなると、
体重比の出力が落ちてしまい、
一時的にパフォーマンスが低下してしまう
可能性もありますよね。

その後に、
最大筋力向上のプログラムがあったとしても、
その時点での長期的な視点を
選手が持っていなければ
筋トレ=パフォーマンス低下だと
思ってしまうかもしれませんよね。

まとめ

このように、
確かにウエイトトレーニングを実施することで
身体が重くなったと感じることも起こり得ます。

トレーナーとしては、
そういったことも起こり得ることを
きちんと説明し、
逆にどうやったら防げるかも選手に教えられると
より安心してウエイトトレーニングに
取り組めるかもしれませんね!

参考文献

1. Schoenfeld, BJ, Grgic, J, Ogborn, D, and Krieger,
     JW. Strength and hypertrophy adaptations between
    low- vs. High-load resistance training: A systematic review
    and meta-analysis. J. Strength Cond. Res. 31:
    3508–3523, 2017.
2. Schoenfeld, BJ, Ogborn, D, and Krieger, JW.
    Dose-response relationship between weekly resistance
    training volume and increases in muscle mass:
    A systematic review and meta-analysis.
    J Sports Sci 35: 1073–1082, 2017.