「ピリオダイゼーション」
トレーニング指導者がトレーニングプログラムを
作成するうえで欠かせない知識ですよね。

ピリオダイゼーションとは
日本語で表現すると「期分け」

時期によって
行うトレーニングを少しずつ変化させましょう
というコンセプトです。

ずっと同じような強度、量で
トレーニングを行っていると

  • 刺激への慣れにより、向上が停滞する
  • 同じ刺激が加わり続けることによる疲労の蓄積

が起こるため、それを予防するために
ピリオダイゼーションが必要だと言われています。

上記はトレーニングの専門教育を受けてきた方なら
もはや常識かもしれませんが、
ピリオダイゼーションを用いたトレーニングと
用いなかったトレーニングでは
実際にどれほどの差があるのでしょうか?

本日は筋力獲得に対する
ピリオダイゼーションの効果について
検証した研究のメタアナリシスを紹介します。

ピリオダイゼーションの効果

Comparison of Periodized and Non-Periodized
Resistance Training on Maximal Strength:
A Meta-Analysis.
Williams et al., 2017 (1)

このメタアナリシスでは
ピリオダイゼーションを用いたトレーニング
vs 用いなかったトレーニングでの筋力獲得の違い
について検証した研究が集められました。
筋力の評価にベンチプレス、レッグプレス、
スクワットのいずれかを使用しているものが
採用の基準とされています。

その結果、
18の研究(総被験者612人)が採用され、
ピリオダイゼーションを用いた研究は
そうでない研究に対して
ES=0.43(0.27~0.58)
の効果があることが分かりました。
※ES:効果量 括弧内は95%CI

ちなみにこの研究では、そのESを
最大挙上重量測定時のウエイトの重さに換算すると
どれくらいなのかも算出しており、
ES=0.43はベンチプレスの11.4kgに相当する
と述べられています。

採用された研究の平均介入期間は12.3±7.6週間。
この期間でのこの差はなかなか大きいですよね。

ピリオダイゼーションの組み方

ピリオダイゼーションは

  • 週単位からなるミクロサイクル
  • いくつかのミクロサイクルから構成される
    メゾサイクル
  • いくつかのメゾサイクルから構成され、
    試合に向けた計画などを示すマクロサイクル

によって成り立ちます。

図では1つの例を示してありますが、
もちろんミクロサイクルの中で
全身のウエイトトレーニングを×3/週で
行ってもいいでしょうし、
環境によっては週1回のトレーニングしか
行えない場合もあるかと思います。

図の中でメゾサイクルの最終週には
意図的に負荷を落としている週(Deload Week)を
設けていますが、トレーニング負荷によっては
設けなくても良い場合もあるでしょう。

ピリオダイゼーションの種類

上記の図でも示してある通り、
マクロサイクルの中で
試合に向けて疲労を除去していく
ピリオダイゼーションが一般的かと思います。

トレーニングの効果は
強度やボリュームの組み合わせで変わってきます。

(例)

  1. 筋肥大が目的であれば、比較的高回数の
    トレーニングが必要
  2. 筋力向上が目的であれば、
    回数よりも強度(重さ)が重要

※高回数といっても1セットで数十回行うような
ものを指しているわけではありません。

強度が高いほど回数をこなすことは難しくなり、
強度を少し低くすることで回数はこなしやすく
なりますよね。

そして高強度低回数のものよりも、
中強度高回数のトレーニングのほうが
総負荷(回数×強度)は高くなり、
疲労は溜まりやすくなります。

そのため、
試合に向けて疲労を除去することを考えれば
試合がない時期に①のようなトレーニングを行い
試合が近づくにつれて徐々に②のような内容に
なっていく、言い換えればマクロサイクルの中で

  • 徐々に強度は高めながら
  • 徐々に回数は減らしていく

ようなピリオダイゼーションが一般的です。

そしてミクロサイクルやメゾサイクルの中で
あまり大きな変化も持たせずに、
試合に向けて強度や回数が直線状に変化していく
ものを線形ピリオダイゼーション
一方でミクロサイクルやメゾサイクルの中で
強度や回数に変化を持たせたもの
非線形ピリオダイゼーション
(波形ピリオダイゼーション)
と呼びます。

まとめ

きちんとピリオダイゼーションが組まれた
トレーニングプログラムは、そうでないものに比べ
効果が高いことは研究でも証明されています。

どのような形のピリオダイゼーションが良いかは、
チーム状況、トレーニングを行える環境によっても
違ってくるでしょう。

現場で適切な応用ができるように、
理論的な基礎はしっかりと押さえておきましょう!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)

参考文献
Williams, T. D, Tolusso, D. V., Fedewa, M. V.,
Esco, M. R.
Comparison of Periodized and Non-Periodized
Resistance Training on Maximal Strength:
A Meta-Analysis.
Sport Med 47: 2083–2100, 2017.