トレーニング指導者として活動していれば、
あなたも『体力測定』を実施したことが
ありますよね?

場合によっては、
光電管でのスプリントスピードの測定や、
垂直飛びのためのジャンプメーターの使用、
他にも様々な機材を借りてきて、
その日は2時間かけて多くの項目を測定。

選手へのフィードバックも
エクセルを使ってグラフを作成。

そんなふうに力を入れれば、
選手もワクワクするし、
自分に何が足りないかわかるし、
その後のトレーニングのモチベーションにも
なるでしょう。

私も以前まではそのような測定会に
力を入れていました。

しかし最近は
もっとシンプルかつ簡便な測定に落ち着きました。

本日は測定の意義について、
見方が少し主観的になっていますが、
考えていきたいと思います。

体力測定

まず体力測定の意義については、

  • 選手の選抜
  • フィードバックにより
    個々人の足りない要素が分かる
  • 選手のモチベーションになる
  • トレーニング効果の有無により
    プログラムを見直すきっかけになる

などが挙げられます。

これを元に、どのような測定が良いのかを
考えていきましょう。

① 測定種目

当たり前ですが、トライアウトなどの
選手選抜のためだけの測定でない限り、
測定はトレーニングに対応したもの
いいでしょう。

トレーニング効果の検証をしようにも、
トレーニングの内容と測定する体力要素が
一致してなければ意味がありません
し、
「このトレーニングをきちんとがんばれば
この数値が上がるんだ!」
と選手が納得をしなければ
モチベーションにもなりません。

例えば、ウエイト器具がない環境で、
下半身の自重トレーニングを中心にしているのに、
握力を測定する…

なんてことに意味はなさそうですよね?

また、体力の向上だけでなく、
『慣れ』による数値の向上が大きい場合も、
測定種目としては適しません。

例えば複雑なアジリティドリルなどは、
そもそも行い慣れてないと、
どう実施すれば良いかを選手が分かっておらず、
1回、2回、3回と実施すればするほど
『慣れ』によりタイムが良くなることがあります。

そのような種目も
適切に『体力』を評価できないので
測定には適さないでしょう。

② 種目数

体力測定の種目数が多ければ多いほど、
測定には時間がかかりますよね。
それはつまり、
『貴重な練習・トレーニングの時間を削っている』
ということ。

それだけの価値があるなら
多くの種目を測定するのもありですが、
そうでないのなら
『時間をとっている』ということを考え、
種目数を削りましょう。

③ 測定頻度

定期的な測定は
選手のモチベーションになりますし、
何か問題があって体力が向上していない場合は、
その気づきのきっかけになります。

これは個人的な感覚になりますが、
選手は、年に1回の測定では、
前回の値や、前々回から前回の変化なども
忘れてしまっています。

そういった意味では、
選手の頭に残るような頻度で
実施すべき
でしょう。

いろんなことのバランスを考える

せっかく測定をするなら、
測定頻度を少なくしすぎないほうが
良いと述べました。

しかし高頻度で多種目を実施すると、
それだけ練習やトレーニングの時間が削られます。

そのようなバランスをコーチと話し合い、
測定種目、頻度を決めるべきでしょう。

私は、最近はそれらの考えから

  • 体重は毎日測定
  • ウエイトトレーニングは
    トレーニングセッション内で
    3~5RMを定期的に測定
  • パワーの指標として
    立ち幅跳びを1~2か月に1度測定
  • 持久的な要素が求められる競技であれば
    20mシャトルランを1~2か月に1度測定

と、少ない種目で行うことが多いです。
種目によっては、測定会ではなく、
普段のトレーニングの中で実施しています。

筋力や体重の測定だけでは、
パワーに転移しているのかが分からないので、
そこを測れる種目は欲しいです。

理想を言えば
スプリントスピードなども測りたいところですが、
機材がストップウォッチしかなければ
正確性に欠けるし、
光電管を使えても1台であれば、
大人数の選手を測定するのに時間がかかります。

その点、立ち幅跳びであれば
特別な機材は必要ありませんし、
メジャーを複数用意すれば同時に何人も測れます。

種目数が少なく測定時間も少なければ、
高頻度での測定も可能になるので、
私個人としては
頻度を多めにすることでの
『モチベーションの維持』、
結果が出なかった時の
『迅速な方向の修正』
などの
メリットを活かしています。

まとめ

何も紹介した測定の仕方が
一番良いというわけではありません。

測定の目的が何なのか。
時間を削ってまでやる価値があるのか。

このあたりを、是非一度立ち止まって、
改めて考えてみてはいかがでしょうか?

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)