多くの競技でトレーニングは重要です。

ただ、やはり勝利に直結するのは
技術や戦術であることも多いですよね。

しかし、
トレーニングによってスピードが上がれば、
元々ボールを扱う技術が高い選手はより相手を
抜き去ることができるようになるでしょうし、
身体の細さが弱点だった選手は筋肉をつけることで
当たり負けをしづらくなるでしょう。

このように、
競技練習だけではまかないきれない部分を補うのが
トレーニングの役割です。

では、すべての体力要素を
わざわざトレーニングしなければいけないのか
というと、そういうわけではありません。

場合によっては優先順位をつけて、
優先順位の低いものはトレーニングをしない
という選択肢もあるでしょう。

競技練習でも各体力は向上する

小学校、中学校時代では本格的なトレーニングを
しているチームは少ないですよね。

ですがサッカー部の少年に持久力があったり、
バスケ部の少年にジャンプ力があったり
しますよね?

これは競技の練習自体が
体力要素へのトレーニングになっている
からだと考えられます。

サッカーの試合では攻守にわたり走り続けますし、
バスケットボールにはリバウンドやレイアップなど
ジャンプ動作が多く含まれます。

そのような刺激によって、
特異的な体力要素が伸びていったということは
大いに考えられますよね。

そこで

「サッカーで伸びた体力が
サッカーに必要な体力なんだから、
トレーニングなんて必要ないんじゃないの?」

といった疑問が浮かんでくるかもしれません。

しかし、そんなこともないんです。

実は
サッカーで必要だけどサッカーでは伸びない体力
も存在しますし、
サッカーで伸びるものの、
トレーニングをすることでもっと伸びる体力
も存在します。

競技練習では足りない部分をトレーニングで補う

まず第一に挙げられるのは、「筋力」です。

高校生あたりまでは
成長とともに筋力は向上していき、
それに伴ってスピードやジャンプ力も
向上していきます。

しかしながらそれ以降、
競技練習をしたからといって
筋力の向上はあまり期待できません。

そのため、多くの競技で
ウエイトトレーニングを中心とした
トレーニングが必要になってくるのです。

逆に持久量に関しては、
筋力に比べ競技練習の中で補うこともできる
と考えられます。

このことはサッカーを中心に
多くの研究がなされているのですが、
SSG(Small Sided Game)という、
人数やスペースを制限したゲーム形式の練習
(4vs4や5vs5)を行うことにより
心拍数を上げることができ、持久力を向上させる
ことができると言われています。※1

競技練習で足りない部分はチームによって違う

一方で、競技練習で身につく体力は
チームの状況によっても変わってきます

分かりやすい例で言うと、
バスケットボールのスリーメンです。

スリーメンとは3人の選手がパスをしながら
コートをスプリントし、レイアップシュートを
決めながら往復する練習なのですが、
もしも部員が9人だったらどうでしょう。

3人が実施している間は6人は待機、
つまり運動:休息の比率が1:2になります。

これでは休息の間も呼吸が整わず、
心拍数はかなり高くなりますよね。

この練習では技術の向上に加えて
持久力も身につきそうです。

一方、部員が24人もいたらどうでしょう。

1組実施している間に7組は待機、
つまり運動:休息の比率が1:7になります。

これだと休息中に心拍数は下がってしまい、
なかなか持久的な負荷はかかりませんよね。

一方、回復してから全力でダッシュができるので、
スピードは身につくかもしれません。

また、このような人数の違いだけでなく、
フォーメーションの確認のような軽めの練習と
5対5などの実戦形式の練習のどちらが多めなのか
などによっても刺激が加わる体力は
異なってきますよね。

まとめ

トレーニングはあくまでも
競技練習では足りないところを
補うためのものです。

そのため、

  • まずその競技、チームに必要な体力は何なのか
  • 競技練習では高めきれない体力は何なのか

を見極め、そこを優先的に鍛えていく
必要があります。

時間は有限。

より効率的なトレーニングを行うために、
時には取捨選択をしていきましょう!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)

参考文献
1.O., Faude, A., Steffen, M., Kellmann & T., M.
The Effect of Short Term Interval Training During the
Comeptitve Season on Physical Fitness and Signs of Fatgiue:
A Cross Over Tiral in High Level Youth Football Players.
Int J Sports Physiol Perform 9: 936–944, 2014.