『ピーキング』

トレーナーとして活動していれば、
この言葉は聞いたことありますよね?

文字通りピークにもってくこと。
つまり重要な試合にむけて
コンディションを最高の状態に近づけていくこと
『ピーキング』です。

選手のコンディションは、
メンタル面、フィジカル面、疲労、栄養面など、
様々な要素によって成り立っています。

そのため、ピーキングを行うときには、
これら様々な要素を考えながら、
総合的なコンディションを整えていく

必要があります。

とはいえ、
それらすべての要素を語りだすと
なかなか語りつくせないので、、
今回は特に重要な
「フィジカル・疲労面」
「栄養状態」について
解説していきます。

主要なピーキングの方法

主要なピーキングの方法として

  • テーパリング
  • グリコーゲンローディング

があります。

これはそれぞれ
「フィジカル・疲労面」と「栄養状態」の
コンディションを最適な状態にもっていく
ための
方法です。

テーパリングとは?

テーパリングとは、
練習量やトレーニング量を
試合に向けて減らしていく
ことです。

試合に向けて疲労を抜きたいのですが、
そのためには負荷を減らすことが
必要になってきます。

負荷を減らそうと思ったら
「強度」を落とすか、「量」を減らすかが
考えられるのですが、
テーパリングを行う場合は
「量」を減らす
ことで負荷を少なくしていきます。

※負荷と量と強度の違いについてはこちら

逆に量ではなく強度を落とすこと
負荷を減らしてしまうと、
疲れは抜けるかもしれませんが、
身体がその低強度の運動に慣れてしまい、
動きづらくなってしまう
んですね。

球技スポーツの対人形式の場合を思い浮かべると
分かりやすいかもしれません。
強度の落ちた対人練習では
試合のリアリティも出ないし、
戦術的にも試合と練習が解離してしまいますよね?

また陸上や水泳などのタイム競技においても、
テーパリングを行う場合は
強度ではなく量を減らすことで
良い結果が得られることが
明らかになっています。※1

目安としては

  • 試合前2週間から徐々に
    練習・トレーニング量を落としていくこと
  • テーパリング中の平均の
    練習・トレーニング量は
    普段の40~60%程度に抑えること
  • テーパリング中は強度を維持すること

これらが最適なテーパリングの方法だと言われています。

グリコーゲンローディング

栄養面でのアプローチも
試合当日のパフォーマンスを大きく作用します。

特に球技スポーツを含む
持久的なスポーツの場合、
主要なエネルギー源である
体内のグリコーゲン量(炭水化物・糖質量)が
非常に重要
です。

一般的なアスリートの場合、
普段必要な糖質量は体重×5~8g/1日だと
言われています。※2

これは、
体重80kgのアスリートであれば
糖質400~640g程度。
ごはんに換算すると3合~5合程度ですね。

グリコーゲンローディングとは、
試合前3日間程度は普段の摂取量に加えて
多めの炭水化物を摂取することで、
試合当日のグリコーゲン量を高める

といった戦略です。

実際にこの手法をとることで、
サッカーの場合だと試合中の走行距離が
1㎞以上長くなったとする報告もあります。※3

目安としては
普段の糖質量に1日あたり+200~300g
多めに摂取
することです。
(ごはんに換算すると+2合程度)

まとめ

代表的なピーキングの手法、
テーパリンググリコーゲンローディングについて
ご紹介しました。

この他にも
怪我の痛みのコントロールやメンタル的な準備も
ピーキングには必要かもしれません。

選手のパフォーマンス向上のために、
多角的な視点からコンディションを整えられるよう
アプローチをとっていきましょう!

執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)

参考資料

  1. Bosquet, L, Montpetit, J, Arvisais, D, and Mujika, I.
    Effects of tapering on performance: A meta-analysis.
    Med Sci Sports Exerc 39: 1358–1365, 2007.
  2. M., KC, Wilborn, CD, Roberts, MD, Smith-Ryan, A,
    Kleiner, SM, Jäger, R, et al.
    ISSN Exercise & Sport Nutrition Review:
    Research & Recommendations.
    J Int Soc Sports Nutr 7: 7, 2018.
  3. Souglis, AG, Chryssanthopoulos, CI, Travlos, AK,
    Zorzou, AE, Gissis, IT, Papadopoulos, CN, et al.
    The Effect of High vs. Low Carbohydrate Diets on
    Distances Covered in Soccer.
    J Strength Cond Res 27: 2235–2247, 2013.