
筋肥大を起こすには
8~12回を3セット(複数セット)で、
成長ホルモンを出すためにレストを短く、
というのを聞いたこともある方も多いと思います。
確かに比較的高回数で行い、
レストも短くすることで、
トレーニング後の筋肉のパンプ感も増しますし、
実際に筋肥大をした経験のある方も多いでしょう。
しかし近年では、
必ずしもレストが短いほうが良いとは
限らないということが分かってきました。
しかしこれは、
長いほうが良いというわけではありません。
今回は科学的なデータを基に、
短いレストと長いレストの
使い分け方について考えていきましょう。
筋肥大を起こすメカニズム
以前の記事の復習になりますが、
筋肥大を引き起こすには
- 機械的張力(力発揮)
- 筋ダメージ
- 代謝ストレス
の3つが必要だと言われています。
この機械的張力は、
≒筋の力発揮の合計ということになるので、
トータルの『重量×回数』と考えてもらうと
いいかと思います。
中程度の重量だと、
この『×回数』の部分が稼げますし、
レストを短くすることで水素イオンや乳酸などの
代謝産物が蓄積し、結果、筋肥大につながる。
この理論をもとに行われてきたのが、
昔から行われている8~12回を複数セット、
レストは短め(30~60秒)のトレーニングです。
一方で、機械的張力を大きくしようと思ったら、
上記の『重量×』の部分を大きくするという
戦略もとれますよね。
しかし短いレストだと、
どうしても扱える重量は小さくなってしまいます。
- レストを長くすると大きな重量は扱えるが、
代謝ストレスは小さくなる - レストを短くすると重量は小さくなるが、
代謝ストレスは大きくなる
筋肥大を引き起こすには
いったいどちらが効果的なのでしょうか?
長いレストvs短いレスト
実際に、長いレストと短いレストでの
トレーニング効果を比較した研究をご紹介します。
Ahtiainenら※1は、
長いレスト(5分)で行った場合と
短いレスト(2分)で行った場合での
大腿部の筋断面積の増加量を比較したところ、
- 長いレスト群での筋断面積の増加
⇒+1.8±4.7% - 短いレスト群での筋断面積の増加
⇒+1.8±3.6%
※両群には有意差なし(p>0.05)
といった結果になりました。
一方で、膝の伸展筋群の筋力については、
長いレスト群のみ有意な増加(+5.8±8.0%)が
みられました。
この研究から考えられること
この研究から、
レストが長くても短くても
筋肥大への効果には大きな差がない
ことが示唆されました。
レストが長いと大きな重量が扱えるし、
レストが短いと代謝ストレスが大きくできる。
このように
それぞれのレストには
それぞれのメリットがあるので、
一概にどちらが良いとは言えませんが、
レストが長い方が重量を扱える分、
筋量向上には効果的だということも
この研究は示唆しています。
こう聞くと、
レストは長いほうが絶対的に良いというふうに
捉えがちですが、
レストが短いほうがトレーニング時間は短縮でき、
時間的な効率は良いです。
また刺激への慣れを防ぐ、
ピリオダイゼーションという観点でも、
機械的な張力による負荷ばかりをかけるより、
代謝的なストレスをかける時期も作ったほうが
良いかもしれません。
このように、
それぞれのメリットを考慮した上で、
長期的なトレーニングプログラムに
活かしていくのが良いのではないでしょうか。
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
参考文献
- Ahtiainen, JP, Pakarinen, A, Alen, M, Kraemer, WJ,
and Häkkinen, K.
Short vs. Long Rest Period Between the Sets in
Hypertrophic Resistance Training:
Influence on Muscle Strength, Size, and Hormonal
Adaptations in Trained Men.
J Strength Cond Res 19: 572, 2005.
http://nsca.allenpress.com/nscaonline/?request=get-abstract&doi=10.1519%2F15604.1
- 投稿タグ
- パフォーマンス, ピリオダイゼーション, レスト
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