「試合でバテないように
しっかりご飯をたべとけよ!」
昔から言われてることでしょうし、
最近は特に炭水化物の摂取の重要性は
スポーツ界には浸透してきました。
基本的なことですが、
炭水化物が分解されたものが糖質である
といったことも知っている人は
増えてきましたよね。
瞬発的な運動はもちろん、
持久的な運動の主なエネルギー源になるのは、
筋肉や肝臓に蓄えられている
グリコーゲン(糖質)です。
なので、
試合前はしっかりとお米をたべましょう!
なんて言うのは簡単ですが、では実際に、
どれくらい食べれば(炭水化物を摂取すれば)、
どれくらい試合で動けるようになるでしょうか?
選手の心理からしても、
「食べたほうが良いよ!」より
「これくらい食べると
これくらい動けるようになるよ!」のほうが
説得力もあるし、しっかり食べようと
思いますよね?
本日はサッカーの研究を参考に、
炭水化物の摂取量と試合の運動量(走行距離)の
関係のデータをご紹介します。
炭水化物の摂取量によるサッカーの試合中の走行距離の違い
Souglisら※2は、サッカー選手を対象に、
- 高糖質群
試合3日前から1日あたり
体重×7~8gの糖質を摂取 - 低糖質群
試合3日前から1日あたり
体重×2~3gの糖質を摂取
に分け、試合での走行距離を
GPSを使って測定しています。
(総カロリーは両群とも同程度)
(低糖質群はそのぶん脂質を多めに摂取)
その結果、高糖質群は低糖質群よりも
試合中の走行距離が1㎞以上長くなりました。
また補足的なデータになるのですが、
この研究では被験者をチームA、Bに分け、
1週間目ではチームAが高糖質食、
2週間目ではチームBが高糖質食をとり、
チームを入れ替えての比較もしていますが、
どちらの週の試合も高糖質食を摂取したチームが
勝利を収めています。
この高糖質(体重×7~8g)と
低糖質(体重×2~3g)というのが、
この数値ではどのくらいかが
イメージしづらいと思います。
お米で換算すると、
この研究の被験者(体重70~80kg程度)の場合は
高糖質⇒1日あたりごはん4.5~5.0合
低糖質⇒1日あたりごはん1.5~2.0合
になります。
この高糖質の量を多いと思うか少ないと思うかは
人によるかと思います。
3日間炭水化物を多めに食べるだけで
試合での運動量が増加し、
それが勝利につながる可能性があるのですから、
勝ちを目指すチームの選手であれば
多少大変でもがんばって多めに
食べるべきですよね。
身体作りの観点からも
上記は試合前の食事に関することでしたが、
普段からの食事についても似たようなことが
言えそうです。
最近はインターネットやSNSの発達で、
「筋肉をつけたければタンパク質をとるべき」
ということはもはや常識となっており、
多くの選手は「体重×2g程度の摂取が必要」
ということも知っています。
*注
体重1kgあたり1.6g±0.6g程度で十分とされる
データ※1もありますが、選手は×2gで把握しておいても
良いと思います。(覚えやすいし)
そのため、
食事やプロテインなどのサプリメントで
タンパク質をしっかりと取っている選手は
多い印象ですが、それでも
「筋肉がつかないんです」
「体重が増えないんです」
といった相談を受けることも多いです。
体重が増えないということは、
シンプルに食事量、摂取エネルギーが足りません。
トレーニングをしているのに
筋肉が増えないという選手は、
意外とタンパク質不足というよりも
シンプルな食事量が足りないことが多いので、
主食の量を少し増やすだけで
筋肉がつくことも多々あります。
まとめ
アスリートにとって食事が大事だということを
「知っている」人は多いと思います。
しかし食事の重要性を「理解している」人は
意外と少ないのではないでしょうか。
もし指導しているアスリートの
パフォーマンスが上がらない場合、
原因はトレーニングではなく
食事にあるかもしれませんよ。
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
参考文献
- Morton, RW, Murphy, KT, Mckellar, SR, Schoenfeld, BJ,
Henselmans, M, Helms, E, et al.
A systematic review , meta-analysis and
meta-regression of the effect of protein
supplementation onresistance training-induced
gains in muscle mass andstrength in healthy adults.
Br J Sports Med. 52(6):376-384, 2018.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5867436/ - Souglis, AG, Chryssanthopoulos, CI, Travlos, AK
Zorzou, AE, Gissis, IT, Papadopoulos, CN, et al.
The Effect of High vs. Low Carbohydrate Diets on
Distances Covered in Soccer.
J Strength Cond Res 27: 2235–2247, 2013.
http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-201308000-00025
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