トレーナーといっても
様々な業種の人がいますよね。
アスレティックトレーナー、理学療法士、
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師、
ストレングスコーチ・・・
様々な役割がある中で、
多くのトレーナーが選手に対して
トレーニング、運動療法、アスリハなどの
【運動指導】を行います。
メディカル系のトレーナーであっても、
治療だけでなく、根本的な症状の改善のために
運動療法を処方することもあります。
ストレングスコーチの行う運動指導は、
そのような運動療法ではなく、
パフォーマンスアップのための
トレーニングですよね。
同じ運動であっても、
何を目的としているのかによって
行い方は違ってくるものです。
例えば【スクワット】という運動を1つとっても、
- 術後で膝の可動域制限があり
- 大腿部の筋肉が萎縮しているのを取り戻したい
- 高負荷での荷重ストレスには耐えられない
という場合の運動療法であれば、
可動域を制限した自重のスクワットを
高回数で行うのが良いかもしれません。
- 十分な筋肉量があり
- さらなる筋力向上が目的
- 柔軟性も維持、獲得したい
- そろそろ試合期
でのトレーニングであれば、
高重量のディープスクワットを
徐々にボリュームを減らして行うのが
良いでしょう。
そのような違い、
そこにつながる業種間の視点の違いを
理解していないと話し合いにならない
場合もあります。
不安定面でのトレーニングって有効なの?
例えば、多くの現場で用いられている
不安定面でのトレーニング。
バランスディスクやバランスマット、
バランスボードやBOSU上で
片脚立ちを行ったり、
片脚でスクワットを行ったり
している光景はよく目にしますよね。
ああいったエクササイズは
実際に『効果的』なのでしょうか?
・・・・
もう察した方もいらっしゃるかもしれませんが、
『何に対して』効果的かを考えないと、
この答えはでませんよね。
それでは2つの視点で考えていきましょう
① パフォーマンス(身体能力)向上に対しての効果
スプリントやジャンプ力、
いわゆる身体能力の向上に対して効果的なのか?
「なんだかバランスって大事そうだし、
体幹の筋肉も使いそうだし、
効果的な気がするなぁ」
という気もしなくもないですが、
実際にこの効果を検討した研究を見ると、
実は不安定面でのトレーニングを行った場合は、
安定面でトレーニングを行った場合よりも、
身体能力の向上が小さいことが
明らかになっています※1。
(過去の関連記事はこちら)
② 捻挫などの傷害の予防効果
このような不安定面でのトレーニングは
捻挫などの傷害の予防・再発予防の
エクササイズとしても行われますよね。
傷害予防への効果はどうなのでしょうか?
不安定面でのエクササイズについて
捻挫などの傷害の発生率が低かったとする
報告もあり、その有効性が示唆されています。※2
このように、
パフォーマンス向上には効果的でないが、
傷害予防には効果的であったと
データから解釈することができます。
まとめ
同じエクササイズでも、
目的によって行い方が変わってくる、
目的によって有効が有効でないかが変わってくる
という内容でした。
トレーナーは他業種の人とも連携の多い職業です。
このように幅広い視点で物事を考えることは
必須の能力の1つではないでしょうか?
執筆者:佐々部孝紀(ささべこうき)
参考資料
- Cressey EM1, West CA, Tiberio DP, Kraemer WJ,
Maresh CM.
The effects of ten weeks of lower-body unstable surface
training on markers of athletic performance.
J Strength Cond Res 21: 561–567, 2007. - Wedderkopp, N, Kaltoft, M, Holm, R, and Froberg, K.
Comparison of two intervention programmes in young
female players in European handball – With and without
ankle disc.
Scand J Med Sci Sport 13: 371–375, 2003.
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